まほろば【現代編】
「あの娘――紗綾といったか――その娘にワシは、毎日のように呪詛を掛けられておったんだ」

不思議とそれほどの衝撃を受けることはなかった。

逆に、前々から感じていた紗綾の言動の全てが繋がるようにも思えた。

「だがな――」

白虎は気遣うようにこちらを一度見ると、話を続けた。

「あの娘も別に好き好んでやっていたわけではない。あれは、一種の脅迫とでも言うものだろう」

「脅迫?」

「うむ。あの娘の心の闇というものをヤツラはうまく利用しおったんだ」

「心の闇……?」

「ところで、先ほどから度々出てきているヤツラというのは誰のことを指しているんだい?」

別の言葉に心を奪われているところに、父さんが口を挟んだ。

「それには、私がお答えしましょう」
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