まほろば【現代編】
「でも、マヒトは悪いヤツじゃないと思うんだけどな……」

それまで黙って聞いていたホムラがポツリと呟いた。

「まあ、確かにアヤツが一番の被害者だとも言えるかもしれんがな」

「うん。マヒト、苦しんでると思う」

「どういうことだ?」

困ったような表情を浮かべながら、ホムラは確かじゃないけどねと話を続けた。

「マヒトは、たぶんツチグモ一族の本来は普通の人間なんだよ。まあ、普通といってもアキとかヒリュウみたいにかなり強いカムナキの力を持った人間ではあったんだと思う。だからこそ、それを利用されたんだ」

「真人が人間? 玄武はどうなるんだ?」

「うん、だからね。どうやったのかは知らないけど、玄武とそして土蜘蛛の両方がマヒトの体を媒体にしているんだと思う。それがマヒトの意思かどうかは別としてね」

「何だ、それ。それって、人体実験みたいなもんじゃないか!」

「だから、アヤツが一番の被害者だと言えるんだ」
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