まほろば【現代編】
やっと、書けた文面は
『紗綾さんに話があるって呼ばれたから行ってくる。しばらく連絡取れないかもしれないけど心配しないでね』
という、なんともシンプルなものだった。
携帯電話は持って行くつもりだから連絡は取れるかもしれないとは思ったものの、何となくあの場所は電波が入らない気がしたので先手を打ってその一文も付け加えておいた。
たぶん、これだけじゃ安心してくれないだろうなと思ったから、あの場所までの地図を書こうと思い立ったはいいが、自分が方向音痴だということを忘れていた。
何度書いても納得いくものができない。
「出来た!」
と思った瞬間、額から流れた汗が頬を伝い顎の下からポツリと、たったいま完成したばかりの地図の上に落ちる。水性ペンで書いていたせいで、見る見るうちに染みが広がっていき、せっかくの地図が用を足さなくなってしまった。
「えー、そんなー。せっかく出来たのにー」
落胆の色を隠せないまま、チラリと時計を見るといつの間にかもう昼近くになっている。
『紗綾さんに話があるって呼ばれたから行ってくる。しばらく連絡取れないかもしれないけど心配しないでね』
という、なんともシンプルなものだった。
携帯電話は持って行くつもりだから連絡は取れるかもしれないとは思ったものの、何となくあの場所は電波が入らない気がしたので先手を打ってその一文も付け加えておいた。
たぶん、これだけじゃ安心してくれないだろうなと思ったから、あの場所までの地図を書こうと思い立ったはいいが、自分が方向音痴だということを忘れていた。
何度書いても納得いくものができない。
「出来た!」
と思った瞬間、額から流れた汗が頬を伝い顎の下からポツリと、たったいま完成したばかりの地図の上に落ちる。水性ペンで書いていたせいで、見る見るうちに染みが広がっていき、せっかくの地図が用を足さなくなってしまった。
「えー、そんなー。せっかく出来たのにー」
落胆の色を隠せないまま、チラリと時計を見るといつの間にかもう昼近くになっている。