まほろば【現代編】
だけど、私としてはすぐに帰るつもりだからあの手紙自体必要なくなるかもしれないと思い、すぐに忘れてしまった。

「えーっと、確かこの辺りだったよな……」

真人君のお家に行くのもこれで三回目になるはずだから、もう迷うことはない。

そう思ってたんだけど、気が付くとまた同じ場所に戻ってきてしまった。

「あっれー? おかしいなー?」

ふと横を見ると、同じような細い道を発見しどうやら間違ったところを通っていたことに気が付いた。

「もしかして、私って相当方向音痴だったりするのかな?」

うすうす自分でもそうとは思ってたけど、昨日通ったばかりの場所を間違えるとは我ながら少し情けなくなってきた。

太陽もすっかり真上に来てしまって気だけが焦る。

暑さからなのか焦りからなのか、顎から滴り落ちる汗が土の上に染みを作ってはすぐに消えていく。

ただ無心で足だけを動かして見覚えのあるところまで来ると、やっと一息つくことができた。
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