まほろば【現代編】
勢い込んで聞く私の様子がおかしいからなのか、紗綾さんは少し声を立てて笑った。

「ハルカちゃん、そんなに焦らないで。それより、座ったら?」

「えっ? あ、はい」

促されるまま紗綾さんの横に腰を下ろすと、目の前に汗をかいたペットボトルが差し出された。

「はい。喉渇いたでしょ? ひとまずそれを飲んで一息ついてからお話しましょ」

「はぁ……」

私としては、すぐにでも話を聞きたいところだったが、そう言われてしまったら仕方がない。

紗綾さんの手からペットボトルを受け取ると、キャップを外し中の液体を口に含んだ。

程よい甘みと酸味が口の中に広がる。急に喉の渇きを感じ、一気に半分ほど飲んでしまった。

そこで、今更ながら何かがおかしいと感じた。

手にしているペットボトルは、どこにでも売っている有名なミネラルウォーターのものだった。
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