まほろば【現代編】
もちろん私も一度ならず飲んだことがある。

だけど、こんな味がしたことあったかな? 

別に嫌な味ってわけではない。

むしろ、美味しいとさえ感じる。

あぁ、でも何だかそんなことどうでもいいことのように思えてきた。

何だろう? 

体がフワフワしている感じがする。

紗綾さんの方を向けば、どことなくリュウに似ているその綺麗な顔がグニャリと揺れる。

自分の意思とは関係なしに、体が横に倒れていくのを感じていた。

私、どうしちゃったんだろう? 

薄れゆく意識の中で複数の靴音が近づいてくるのが聞こえた。誰だろう? 

紗綾さん、大丈夫かな? 

そんなことを思いながら、いつしか眠りの淵へと落ちていってしまった。
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