まほろば【現代編】
じんわりと口の中に溶けて広がる苦味に、思わず吐き出そうとすると、それを察したのか男は私の口を塞いで無理やりそれを飲み込ませた。
喉を焼けるような痛みとともにどろりとした苦味が降りていく。
私が飲み込んだのを確認したのか男が手を離した途端に咳き込んでしまう。
涙目になりながら傍らに佇む男を睨んだ。
「ちょっと、何飲ませたのよ!」
男は、薄い唇を持ち上げると酷薄そうな笑顔を湛えてせせら笑った。
「何って、あんた体が動かなかっただろ? だから、それを動くようにさせてやっただけさ」
言われて初めて気が付いた。確かに、体が自由に動くようになっている。
「じゃあ、行くぞ」
呆然とする私など無視して男は私の腕を掴むと乱暴に立ち上がせた。
たたらを踏む私の視線が紗綾さんを捕らえる。
私には、今自分が置かれている状況がまったくわかっていなかった。
喉を焼けるような痛みとともにどろりとした苦味が降りていく。
私が飲み込んだのを確認したのか男が手を離した途端に咳き込んでしまう。
涙目になりながら傍らに佇む男を睨んだ。
「ちょっと、何飲ませたのよ!」
男は、薄い唇を持ち上げると酷薄そうな笑顔を湛えてせせら笑った。
「何って、あんた体が動かなかっただろ? だから、それを動くようにさせてやっただけさ」
言われて初めて気が付いた。確かに、体が自由に動くようになっている。
「じゃあ、行くぞ」
呆然とする私など無視して男は私の腕を掴むと乱暴に立ち上がせた。
たたらを踏む私の視線が紗綾さんを捕らえる。
私には、今自分が置かれている状況がまったくわかっていなかった。