まほろば【現代編】
私たちの体が完全に部屋の中に入ってしまうと、大扉が音もなく閉まり全くの暗闇の中へと放り込まれてしまった。
「ちょっと、いったい何なのよ! だいたい何の説明もなしに――」
ここに来て、たまっていた不満が一気に爆発したようにまくし立てようとする私の言葉は、急な眩い光に遮られた。
それは、私たちよりもかなり上のほうから注がれている。
目が慣れてみると、強烈な光に思われていたそれも十数本の蝋燭の光だということがわかった。
その光に照らされるように、大仰な石造りの椅子に腰掛けた一人の大柄な男性がこちらを見下ろしていた。
年のころは三十前後に見える。
真っ直ぐ伸びた黒髪を特に束ねるでもなく後ろに流している。
服装は、アキたちが着ていたような布を体に巻きつけただけの簡素なものだったが、幾分巻きつけている布の数は多いように見える。
意志の強そうな濡れ羽色の瞳に、蝋燭の光が映えて妖しく紅く揺らめいていた。
その瞳に射すくめられたように、その場から一歩も動けなくなってしまった。
「ちょっと、いったい何なのよ! だいたい何の説明もなしに――」
ここに来て、たまっていた不満が一気に爆発したようにまくし立てようとする私の言葉は、急な眩い光に遮られた。
それは、私たちよりもかなり上のほうから注がれている。
目が慣れてみると、強烈な光に思われていたそれも十数本の蝋燭の光だということがわかった。
その光に照らされるように、大仰な石造りの椅子に腰掛けた一人の大柄な男性がこちらを見下ろしていた。
年のころは三十前後に見える。
真っ直ぐ伸びた黒髪を特に束ねるでもなく後ろに流している。
服装は、アキたちが着ていたような布を体に巻きつけただけの簡素なものだったが、幾分巻きつけている布の数は多いように見える。
意志の強そうな濡れ羽色の瞳に、蝋燭の光が映えて妖しく紅く揺らめいていた。
その瞳に射すくめられたように、その場から一歩も動けなくなってしまった。