まほろば【現代編】

先ほどまでの威圧感が薄らいだせいか、それともあまりにもわからなすぎることがあるせいで頭にきていたからなのか、ついつい強気に出てしまった。

「わかるわけないでしょ！　いきなり連れて来られて、しかも何の説明もなしで！　一体私たちに何をさせたいのよ！」

スサノオはさも可笑しそうに豪快に笑うと、意地悪そうに目を細めながら口を開いた。

「お主らには、オレの妻となってもらう。まあ、約束としてはどちらか一人でもいいんだがな」

「つ、ま？」

言われた意味がさっぱりわからなかった。

だけど、紗綾さんにはどうやら違ったらしい。

「そんな！　やっぱり、約束が違うじゃない！　私は、関係ないはずよ！」

幾分取り乱している紗綾さんを、スサノオは冷静な目で見ている。

私は私で、困惑をたたえた視線を向けるしかなかった。

「あの、紗綾さん。どういう意味、なんですか？」