まほろば【現代編】
「ああ、そうだ。オレは偉い。オレは、この根の国の――王だ」

その言葉で、周囲が急に凄まじい威圧感に飲み込まれた。

それが、目の前の王と名乗る男から発せられているのはわかる。

思わず膝をつきそうになる。だけど、こんなことで負けるわけにはいかない。

「王だからって何だって言うの! 私たちの意志はどうなるのよ!」

「そんなことこそ関係ない。お前たちに選択の余地などない。唯一つを除いてはな」

「どういうこと?」

「契約では、女子は一人でいい。だから、お前たちのどちらか一人は帰してやることはできる」

チラリと横で蹲る紗綾さんに目をやる。

「もし……。もし二人とも逃げたりなんかしたらどうなるの?」

「それを聞くか?」

スサノオの瞳が鋭さを増した気がした。
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