まほろば【現代編】
そもそも私には発音すらできない言葉のような気がする。

このまま一生ここに閉じ込められたままなのかな?

そんなことを悶々と考え続けているうちに、どうやらかなりの時間がたってしまっていたようだった。

ゴゴゴという岩が擦れ合う音が聞こえてハッと顔を上げると、今まさに扉が開いている最中だった。

扉が開くとさも当たり前のようにスサノオが中に入ってくる。

思わず身構える私に対して、スサノオはあまりにも自然体でこちらに近づいてきた。

私が腰掛けているベッドにスサノオはそのまま転がり込む。

私は思わず腰を上げるとベッドから数歩離れた。

「なんだ、お主。わざわざ離れることもなかろうに」

物憂げな感じで見られても、こっちとしては困るしかない。

「あぁ、そういえば。お主、名はなんと申す?」
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