まほろば【現代編】
彼女が差し出したのは、可愛らしい封筒だった。

真ん中には、少し丸みのある文字で『リュウへ』と書かれていた。

わけもわからずそれを手にする。

「出かける前にね、『もし、リュウが来たらコレ渡しといてー』なんて言いながら、慌てて出て行っちゃたのよね」

もう、ほんっと落ち着きのない子なんだからと最後は呆れ顔で言う。

おそらく、彼女には事態の深刻さがまったくわかっていないのだろう。

逸る気持ちを抑えて、礼を述べると一度そこから離れた。

どうにか平静を保ちつつ、ハルカの家の近くの神社へと足を向けた。

昨日のことが脳裏を過ぎる。

気持ちを落ち着かせて、石段に腰を下ろすと封を切った。

中からは、封筒と同じ柄の可愛らしい便箋が一枚出てきた。

開いてみると、特徴的な丸文字で短い言葉が綴られていた。
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