まほろば【現代編】
「彼は、真人ではないよ。真人の中にいた玄武が人型をとっているだけだ。名前はクロキ」

俺の説明で事態を飲み込めたようで、数度瞬きをしてからやっとこちらに視線を向けた。

「マヒト君、ではないのね……」

「あぁ、そうだ」

「そうなんだ……」

一度視線を落としてから、再びそれはクロキへと向かった。

「ねぇねぇ、それよりさー。サアヤ、ハルカのこと知らない?」

ホムラは、いつでもどこでもマイペースだ。

だが、それに救われることも多い。

ハルカの名が出たことで紗綾の顔に憂いの色が浮かんだ。

だが、その瞳には真っ直ぐで強い意志のようなものが見えた。

「ハルカちゃんは、根の国にいるわ」

しっかりと俺の目を見据えて、紗綾はゆっくりと言葉にした。
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