まほろば【現代編】
「私が、連れて行ったの。ハルカちゃんを連れて行けば、リュウ君は私のものになるって言われたから」
「何を――」
言葉を発する前に、紗綾がそれを遮った。
「でも!でも、わかったの。そんなことしてもどうにもならないって。そんなことで、リュウ君の心が手に入るはずがないって。私、ハルカちゃんにとんでもないことを!」
吐き出すように言葉を投げつけると、それに後押しされたかのように紗綾の瞳からはポロポロと綺麗な涙が次から次へと流れ落ち始めた。
紗綾は、昔からあまり体が丈夫ではなかったからそのせいか気もあまり強いほうではなかった。
だけど、涙を見せたことは一度もなかった。
そういう意味では、芯の強い子供だったのだろう。
それがここに最近何度となく紗綾の涙を目にしている気がする。
それは、俺のせいだというのは否定することは出来ないだろう。
今もまた新たな涙を流させてしまった。
しかし、その紗綾の涙に何も言えず、かといって慰めることも出来ず、ただ見つめることしか出来なかった。
「何を――」
言葉を発する前に、紗綾がそれを遮った。
「でも!でも、わかったの。そんなことしてもどうにもならないって。そんなことで、リュウ君の心が手に入るはずがないって。私、ハルカちゃんにとんでもないことを!」
吐き出すように言葉を投げつけると、それに後押しされたかのように紗綾の瞳からはポロポロと綺麗な涙が次から次へと流れ落ち始めた。
紗綾は、昔からあまり体が丈夫ではなかったからそのせいか気もあまり強いほうではなかった。
だけど、涙を見せたことは一度もなかった。
そういう意味では、芯の強い子供だったのだろう。
それがここに最近何度となく紗綾の涙を目にしている気がする。
それは、俺のせいだというのは否定することは出来ないだろう。
今もまた新たな涙を流させてしまった。
しかし、その紗綾の涙に何も言えず、かといって慰めることも出来ず、ただ見つめることしか出来なかった。