まほろば【現代編】
「ねぇ、サアヤ」

そこに、やっぱりホムラが口を出してくる。

しかも、今まで聞いたことがないほど慈愛に満ちた声だった。

「誰もサアヤのことを責めたりしないよ。だって、サアヤは後悔してるんだもの。だったらさ、ボクたちが力になるからどうしたいのか教えてよ」

まだ降り止まない涙の雨を拭いもせずに持ち上げられた紗綾の顔は、今までで一番美しいと思った。

「ハルカちゃんに、ちゃんと謝りたい」

「うん」

「私、自分の力で立てるようになりたい」

「うん、わかったよ。じゃあ、どうすればいい?」

「ハルカちゃんを連れ戻したい」

「了解」

にっこりと微笑むホムラにつられるように、紗綾の顔にも笑みが戻った。

「しかし、ハルカ様を連れ戻すとしても根の国に行かなくてはいけないのですよね?」
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