まほろば【現代編】
静かで落ち着いたアオの声に、焦燥に駆られていた心が幾分和らぐ。

さらに気を落ち着かせるために一つ大きく深呼吸をした。

その様子を二人とも別に焦られるでもなくじっと待っていてくれる。

「ツクヨミに襲われた」

色々言葉を尽くしたとしても上手く伝わらないだろう。

だから、端的に事実のみを伝えた。

だが、聡い二人にはそれだけで伝わる。

「ツクヨミ様が……。俄かには信じ難いことですが、ホムラにあれほどまでの打撃を与えるものはそうはいないでしょうから……」

ツクヨミの顔が苦悶で歪む。

確か、四神の中ではアオは一番ツクヨミと親しかったはずだ。

「ということはだ、こちらとしてもかなりの戦力を持って臨まなくてはいけないということだな」

父さんの顔にも深い皺が刻まれる。

「あの場所では陰陽師の力はないに等しい。対抗できるのは四神の力しかない。だから――」
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