まほろば【現代編】
「前に、過去に、行った時。ボクが、持っていった、紅い玉。あれで、一時的なら、結界の、楔になると思う」

確か、あの時はホムラが朱雀の代わりに自分の力を閉じ込めた紅い玉を、アオが青龍の代わりに蒼い玉を交換したはずだ。

蒼い玉は、今はアオへと姿を変えている。

過去に持って行ったホムラの紅い玉も、今でもどこかに存在しているはずではあるが、それがどこにあるのかはわからない。

「ホムラ、玉がどこにあるのかわかるのか?」

ホムラが静かに首を横に振る。

「それなら、シロにお願いしてみましょう。白虎は移動や変化を司りますから」

アオの言葉に、ホムラとクロキも頷いている。

そのアオは、スッと立ち上がると「では、シロのところに行ってきます」と言い置いて部屋を出て行った。

「四神は、あの妖たちが渦巻く中に入っても大丈夫なものなのか?」

思わずポツリと呟いていた。

結界張りなおしが失敗したときの状況を思い出し、知らず知らずのうちに眉間に皺が寄る。
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