まほろば【現代編】
「それはね――」

ホムラの声に顔を上げると、クロキがホムラを制して言葉を続けた。

「我ら四神も、元はといえば妖。妖は上位のものには逆らえない。だから、彼らの中心に身をおくことで押さえつけておくことができる」

「同じ妖だから、影響は受けないってことか?」

クロキは、少し躊躇うように首を横に振った。

「確かに少数なら全く問題はない。だが、あれだけの量の妖を押さえつけるにはかなりの精神力が必要だ。元々、妖は徒党を組むことはない。隙あらば己が取って代わろうと思うものがほとんどだろう」

「そうか……」

そこに、軽い足音を響かせてアオが戻ってきた。

「わかりました。私がすぐに向かいますので、しばらくの間休んでいてください。特に、ホムラ。あなたは、無理しすぎます。しっかり休むんですよ」

まるで母親のような物言いに、ホムラは苦笑しながら肩を竦めて頷いた。

アオはそれを確認すると、踵を返して足早に部屋を後にした。
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