まほろば【現代編】

iii

もうすぐ、子の刻になる。準備はすでに整っていた。

一同を見回して、前回と同じようにクロキが地面に手をつけるように蹲った。

彼が紡ぐ言葉をさらに高めるように祝詞をあげる。

そして、あの感覚が襲ってきた。

体の中を流れる陰陽の力を強制的に断ち切られる。

体に一気に普段の倍以上の重力がかかり、押しつぶされるような感覚に囚われる。

その感覚が過ぎ去ると、急に体の軽さを感じ平衡感覚がおかしくなり、膝を突いたまましばらく立つことができなかった。

周囲を囲むような足音が聞こえ、顔を上げるとまるで俺を守るかのように四神がぐるりと周りに立っていた。

そこで、ようやく自分がどこにいるのか把握する余裕が出てきた。

どうやら、前回のようにいきなり暗闇の中に突き落とされたわけではないようだ。

前に立つ、ホムラとアオの間から覗けばあの泉が見える。

今回は、いっきに目的の場所へと到達したらしい。
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