まほろば【現代編】
「っクソ!みんなとりあえず散らばれ!」

おそらく先ほどの揺れが合図のようなものなのだろう。

この後には、ツクヨミの攻撃が始まるはず。

一所に固まっていたら、それこそ敵の思う壺だ。

俺の言葉に、四神はさっとそれぞれ泉を囲むように移動した。

そして、四神が本来の姿を顕にする。

その光景は、緊迫した状況だということすら忘れてしまうほど壮観だった。

優雅に紅い翼を広げて上空に佇む朱雀。

白い巨体を軽やかに動かし颯爽と走り抜ける白虎。

まるで動じることなく悠然と辺りを窺う玄武。

そして、蒼い鱗を煌めかせながら上空を旋回している青龍。

各々の放つ覇気とでもいうものにも圧倒される。

しかし、そんなことをものともせず泉の上のツクヨミがぎこちないながらも動き出した。

両手を大きく掲げると、その上に徐々に大きな光の玉が出来始める。
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