まほろば【現代編】
ちょうど、泉に映る月と同じぐらいの大きさの光の玉が出来たとき、表情を映さない顔のままおもむろに腕を振り下ろす。

光の玉は四方に飛び散った。

光の玉は正確に四等分され、それぞれが大きな光の矢となり四神へと襲い掛かる。

それほど速さはないので、それぞれ難なく振り払うことは出来たが、かといってツクヨミを傷つけるわけにもいかず、手をこまねいているという状態だ。

おそらく、ツクヨミはイリネに操られてでもいるのだろう。

どう考えても、自分の意思で動いているようには見えない。

それがせめてもの救いといえるかもしれない。

ということは、ホムラたちにツクヨミの気を引いていてもらって、俺がイリネを探すというのが最善策だろう。

今までツクヨミに気を取られすぎていて、あまり周りを見れていなかった。

ツクヨミの緩慢な攻撃は断続的に続いている。

だけど、それがこちらに波及してくることはまずないだろう。

もし、こちらに火の粉が飛んでくることがあってもホムラたちがどうにかしてくれる。
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