まほろば【現代編】
だけど、どうもしっくりこない。

そんなところにいれば、四神の誰かが必ず気が付くはずだ。

そう思い至ったところで、天啓のように紗綾が剣に貫かれた場面が思い出された。

あの時、剣は確かに地面から生えるように出ていた。

そして、もう一つのフラッシュバック。

東京に行ったときの夏祭りの夜。

土の中からいきなり出てきた手に足首を掴まれて、それで紗綾を見失った。

もしかしたら、ツチグモの一族というのは遁甲しかも土遁を身につけている一族なのかもしれない。

それなら合点がいく。

ヤツは土の中だ。それは予測というよりも確信に近いものだった。

注意深く地面に視線を這わせる。

地面には、疎らに草が生えている程度で後はほとんど土で覆われていた。

その土の一角がほんの少し持ち上がったように見えた。
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