まほろば【現代編】
吐息を漏らすような声に、こちらは安堵の息を漏らす。

体を起こそうとする紗綾を支えるように、背中に手を添えてやる。

まだ万全ではないためか、俺に凭れかかるようにその動きを止めた。

「紗綾。どこか痛いところはないか?」

見たところどこも怪我をしているようには見えないが、どうしても剣に貫かれている光景が目に焼きついて離れないため、突いて出た言葉はこれだった。

「う、ん。大丈夫。驚かせちゃって、ゴメン、ね」

「いや、そんなことはいいんだ。それより、傷、本当にないのか?」

「うん。どうやらあの剣、特殊なものみたいで、肉体を傷つけるというより、内面――私の巫女としての能力を削る力があったみたい」

「そう、なのか?」

「うん。だから、体には特に傷はついてないよ」

「そうか」

今度こそ、本当の意味での安堵の吐息が出た。
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