まほろば【現代編】
激しい爆発音がしたかと思うと、あたり一面をもうもうとした黒い煙が包み込む。

まったく戦況がつかめなくなってしまった。

その間も、幾度となく何かがぶつかり合う音や爆発する音が鳴り響いている。

紗綾を少し離れた岩陰に移動させ、まずはイリネを探すことにした。

この土埃の中でも、イリネは先ほどと同じ場所に突っ立ったままだった。

「おい」

軽く肩を掴んだつもりだったが、体の力がすべて抜けているかのように、イリネはバランスを崩してその場に膝をついてしまった。

そのあまりの変わりようにただ事ではないことを察する。

「おい、いったいこれはどういうことなんだ?」

「お前たちが、悪いんだ」

上の空でイリネはそれだけ呟く。

目線を合わせて少し強めに肩を掴むと揺さぶった。

「しっかりしろ。そして、ちゃんと説明しろ!」
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