まほろば【現代編】
しかし、こちらの精神力が勝ればそれは心強い味方にもなる。

そう思わせるものを持つ諸刃の剣。

「お前、これを持っていて何にも感じなかったのか?」

俺の言葉に、イリネは不思議そうに首を傾げる。

「別に。それは、もともとツクヨミが持ってたもんだかんな。オレは、単に陰陽の力を絶つ剣だと教えられただけで、詳しいことは知らねーよ。それに、オレはそんなに強い力を持ってるわけじゃねーしな」

イリネは、投げやりな言葉だけ放つとプイと不貞腐れたように横を向いてしまった。

案外、コイツは子供っぽいところがあるようだ。

それよりも、今はこの剣をどう活かすかだ。

目の前では、相変わらずもうもうと土埃が立ち込め視界が利かない。

それでも、鋭く風を切る音や爆音などが休むことなく鳴り続けている事から、四神が苦戦しているのはわかる。

「イリネ。お前は、紗綾のことを見ててくれ」
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