まほろば【現代編】
「あっ、はい。じゃあ、遠慮なく――いただきます!」

「はい、召し上がれ」

料理は本当に美味しくて、何度も「おいしい」を連発する私を、カグヤさんはニコニコしながら食べ終わるまで側で見ていてくれた。

一息ついたところで、疑問に思ってたことを聞いてみた。

「今日は、急いで戻らなくてもいいんですか?」

「うん、大丈夫。スサノオ様に信用されたみたいだから。だから、今日は見張り役の人もいないしね」

「見張り役?」

「そっ。昨日、お粥持ってきたときにもう一人いたでしょ?彼女が見張り役」

「何のために?」

「実は、私って結構一族の中では、はみ出し者でさ。そんなわけだから、真人とも仲良くなったんだけど。ようは、あまり信用されてないってわけ。だから、なかなか単独で行動させてもらえないのよね」

最後は、やれやれとでもいうように軽くため息を吐きつつ、諦めにも似た笑顔を見せていた。
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