まほろば【現代編】
それには、可笑しそうに首を横に振る。
「違う違う。私たちは、現世と自由に行き来できるから、あっちから自分たちが食べる用の食料を調達しているの。私たちの一族がここに住むようになって、最初にスサノオ様が命じたのがそのことだったんだって。『くれぐれも、黄泉の国の食物を口にするな』ってね。でも、スサノオ様に嫁ぐ娘だけは違う。スサノオ様に対する忠誠の意味も込めて、身も心もすべて捧げるの。そのための一種の儀式のようなものとして死者の国の食べ物を口にするってわけ」
「そう、なんですか」
二の句が次げないでいると、カグヤさんはさらに言葉を続けた。
「本当はね、最初にあなたに食事を運んできたミツハが、次のスサノオ様のお嫁さん候補だったのよ」
「へー、そうなんですか……」
そして、ふと彼女が私を見たときの鋭い視線を思い出した。
「彼女、生まれたときからそう叩き込まれていたから、人一倍スサノオ様に心酔してたんだけど、ちょっとした誤算が生じちゃってね」
「もしかして、真人君のことですか?」
「違う違う。私たちは、現世と自由に行き来できるから、あっちから自分たちが食べる用の食料を調達しているの。私たちの一族がここに住むようになって、最初にスサノオ様が命じたのがそのことだったんだって。『くれぐれも、黄泉の国の食物を口にするな』ってね。でも、スサノオ様に嫁ぐ娘だけは違う。スサノオ様に対する忠誠の意味も込めて、身も心もすべて捧げるの。そのための一種の儀式のようなものとして死者の国の食べ物を口にするってわけ」
「そう、なんですか」
二の句が次げないでいると、カグヤさんはさらに言葉を続けた。
「本当はね、最初にあなたに食事を運んできたミツハが、次のスサノオ様のお嫁さん候補だったのよ」
「へー、そうなんですか……」
そして、ふと彼女が私を見たときの鋭い視線を思い出した。
「彼女、生まれたときからそう叩き込まれていたから、人一倍スサノオ様に心酔してたんだけど、ちょっとした誤算が生じちゃってね」
「もしかして、真人君のことですか?」