まほろば【現代編】
さっきから四神や紗綾の手当てをしているツクヨミを見ていて疑問に思っていたのだが、あの剣で陰陽の力が絶たれたはずだ。

「ああ、それならご心配なく。あなたの今の力では私の気の流れを断ち切ることなどできません。ただ、あの時はツチグモ一族にかけられた呪詛の部分のみに作用したのです。なので、私は正気に戻ることが出来ました。それは、確実にあなたの能力というよりあなたの信念とでも言うもののお陰でしょう。助かりました、ありがとうございます」

「いや、別に……」

何だか、けなされているのか褒められているのか良くわからない言葉だったが、最後の礼の言葉は嘘偽りなく心からの謝意だというのは伝わってきた。

「四神は、しばらくは安静にさせなくてはいけませんので、その間少し私の話を聞いてもらえるでしょうか?」

ツクヨミはそんな提案をしてきた。

だが――

「話は確かに聞きたいが、それより俺は一刻も早く根の国に行かなくちゃいけないんだ。ツクヨミ、お前は根の国の行き方知らないか?」

「そうですね。その辺も踏まえて、やはり少し私に時間をいただけませんか?」

真剣な眼差しのツクヨミを見ていたら、それ以上何も言えなくなり、仕方なくツクヨミの提案を飲むことにした。
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