まほろば【現代編】
「はい。姉は今はアマテラスと呼ばれていますが、それ以前はヒミコと呼ばれていました」

「ヒミコ!?」

「はい。ご存知なのですか?」

「ご存知もなにも……」

混乱している俺を不思議そうに眺めながら、ツクヨミはそれでも話を続けた。

「この剣は、姉上にいずれ必要になるときが来るだろうからと、私に託されたのです」

「必要になるとき?」

無意識に鸚鵡返しでそう答えてきた。

「ええ。おそらくそれが今なのでしょう。これは、元はと言えばスサノオのものだと申しましたでしょ?」

「あぁ」

「ですので、この剣はスサノオへと繋がる道を拓くことができるはずです」

両手に掲げ持つ剣に視線を落とす。

相変わらず、気を抜くとすべての力を吸い取られてしまいそうになる。
< 603 / 702 >

この作品をシェア

pagetop