まほろば【現代編】
「ハルカ!」

「動くな!!」

駆け寄ろうとするオレをスサノオの鋭い声が制した。

スサノオは、ハルカを抱きかかえるとそのまま無言で舞台をおり部屋の隅の壁に凭れかけさせた。

そして、自らの衣を一枚脱ぎハルカを包むようにかぶせると、また無言で舞台に戻ってくる。

その間ずっと放たれているスサノオの覇気というものに、俺は気圧されていた。

静かに目の前に立ったスサノオの鋭い視線に一瞬たじろぐ。

「小僧。好いた女子を護れないような男には、この場にいる資格すらないな」

「ック――。うるさい!何と言われようが、ハルカは連れて帰る!!」

「ほー、このオレを倒せるとでも思っているのか?」

小馬鹿にしたようなその口調に、また乗せられてしまう。

剣を構えなおし、スサノオにそのまま躍りかかった。
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