まほろば【現代編】
だが、それをスサノオは無造作に素手で受け止める。

引き抜こうにも溶接でもされたようにびくともしない。

その一瞬で、スサノオの手刀が手首に繰り出され思わず剣から手を放してしまった。

スサノオは、器用に剣を一回転させると片手で持ちなおし、その切っ先を俺に向けた。

「言ったであろう。この剣は、オレのものだ。お前ごときが扱えるものではない。まあ、それだと不公平だからな。お前には、これをやろう」

スサノオは、草薙剣の刀身を一撫でしてから地面に突き立てた。

剣を突き立てたところを中心に光の輪が広がる。

そして、ゆっくりと引き上げられた剣の先端とくっつくように新たな剣が姿を現した。

それは、草薙剣とは形が違いどちらかと言うと刀といったほうが近いかもしれない。

だったら俺にとってはこちらの方が扱いやすい。

中臣家は、陰陽師の家系だが武道の嗜みとして剣術を子供の頃から叩き込まれてきた。
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