まほろば【現代編】
それでも――

「ウォォーー!!」

もう細かい駆け引きなど必要ない。

この力尽きるまでただひたすら。

再び数度、刃を交えるが傷を負うのはこちらばかり。

意識が朦朧としてきた。

まだだ、まだ倒れるわけにはいかない。

それなのに、体が言うことをきかない。

グラリと体が傾いたのがわかった。次に体に感じる鈍い痛み。

そして今、俺の目は天井を見ている。

もう、体がピクリとも動かない。

そして、高いところから終幕を告げる声が届いた。

「お前は、良くやったよ。そろそろ終わりにしてやろう」

そうか、俺はまた愛すべき人の手を離してしまったのか。

ならせめて、最後の時にはその愛しい少女の笑顔を思い浮かべながら逝きたい。

瞼を閉じると、ポッと心に明かりを灯すようなハルカの笑顔が広がった。

ハルカ。誰よりも愛しているよ――
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