まほろば【現代編】
「今のは?」

体を起こしながらハルカに問いかけるが、ハルカにもそれが何なのかわからないようで首をかしげている。

それでも、その元となったであろう物体を取り出し目の前に掲げた。

それは、黄金色に輝く勾玉だった。

それが、ハルカの手を離れるとフワリと浮いて俺の胸元まで移動してきた。

そして、そのまま溶けるように形を崩すと俺の中へと入り込んでくる。

なんだろうか、この感覚は。

体に力が漲ってくる。手足の指先、髪の毛の一本一本にまで血が通うように、何かが駆け巡る。

帰るべきところに帰ってきた。

それが今感じている率直な思いだ。

何が、などと深く考える必要もないくらいにそれは、最初からあるべきところに収まった。

ただ、それだけだ。

先程まで感じていた、体の痛みは一切なくなりとても体が軽い。
< 648 / 702 >

この作品をシェア

pagetop