まほろば【現代編】
言っているんだと言おうとして、その異変に気が付いた。

部屋全体を包み込むような柔らかく青白く光る輝き。

それがどこから来るのか。

自然と視線はハルカへと向けられていた。

一際濃い青い光を纏ったハルカは、明らかにいつもの雰囲気と違っていた。

普段の愛らしさはなりを潜め、妖しいまでに美しく、どこかしら神々しさすら感じられた。

そのハルカが、滑るように一歩前に出ると口を開いた。

『スサノオ、案内しなさい』

ハルカの声と重なるように、また別の澄んだ美しい声が響いた。

命令されるような形になったスサノオだが、微塵も驚きを見せずに小さく頷くと舞台から飛び降り入り口へと向かい歩き出した。

ハルカもそれに続くように歩き出す。

何が起こったのか全くわけがわからなかったが、俺は後れを取らないようについて行くことしかできなかった。
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