まほろば【現代編】
私だって、この状態じゃなかったらまた逃げ出していたかもしれない。
だけど、今私の中に入り込んでいる誰かの尋常ならざる力というもののせいか、あくまでも冷静に周りを見ることが出来た。
そして、その誰かは私の体を動かし、何の躊躇もなく部屋の中へと入っていった。
目の前には、昨日とほとんど変わらない光景が広がっている。
先に中に入っていたスサノオは、土蜘蛛に飲み込まれようとしている真人君のすぐ側に膝をつくと、何か話しかけていた。
何を話しているのかは全く聞こえなかったが、それでもそれまで全くピクリとも動かなかった真人君の瞳が開かれ、ゆっくりと首を上げてこちらを見た。
それは一瞬で、またすぐにぐったりとしてしまったが、それでもまだ確かに真人君の意識があるということがわかって、涙が出そうになるほど嬉しかった。
そんな私に語りかけるように、頭の中に響くような例の声が聞こえた。
『これから、あの青年の呪縛を解きます。それには、あなたの力を一時的に全解放させなくてはいけません。あなたには、まだそれに耐えうるだけの精神力がないので、しばらくの間あなたの意識は遮断させてもらいますね』
だけど、今私の中に入り込んでいる誰かの尋常ならざる力というもののせいか、あくまでも冷静に周りを見ることが出来た。
そして、その誰かは私の体を動かし、何の躊躇もなく部屋の中へと入っていった。
目の前には、昨日とほとんど変わらない光景が広がっている。
先に中に入っていたスサノオは、土蜘蛛に飲み込まれようとしている真人君のすぐ側に膝をつくと、何か話しかけていた。
何を話しているのかは全く聞こえなかったが、それでもそれまで全くピクリとも動かなかった真人君の瞳が開かれ、ゆっくりと首を上げてこちらを見た。
それは一瞬で、またすぐにぐったりとしてしまったが、それでもまだ確かに真人君の意識があるということがわかって、涙が出そうになるほど嬉しかった。
そんな私に語りかけるように、頭の中に響くような例の声が聞こえた。
『これから、あの青年の呪縛を解きます。それには、あなたの力を一時的に全解放させなくてはいけません。あなたには、まだそれに耐えうるだけの精神力がないので、しばらくの間あなたの意識は遮断させてもらいますね』