まほろば【現代編】
「そうか?オレはてっきりお前の力を凝縮させたものだとばかり思っておったがな。まあ、なんにせよ、お前の力を覚醒させるにはあの勾玉が必要だった」

それはわかる気がする。勾玉が体に取り込まれてから気力が体中に満ちるのを感じていた。

いくら使っても尽きることがないのではと思えるほど、沸々と湧き上がってくる。

「お前たちは、対照的な力を持っておるからな。だが、その対照的な力が必要だった。それは、実際にやってみてわかったであろう?」

「あぁ」

あの時、二人の力が合わさることで全てが上手く運んでいった。

それも、お互いが最大限の力を発揮している状態だったからだ。

「ハルカは、もう自由に己の力を使いこなせるようになっているはずだ」

「そうなのか?」

半信半疑のまま腕の中の少女の顔を覗き込んでいると、ふいに近くに大きな影が差した。

何かと思えば、スサノオが膝をつき俺が抱きかかえているハルカの顔を愛おしそうになでている。
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