まほろば【現代編】
「えっ!?ウソ!」

「ウソじゃないよ。スサノオ様に、そろそろ地上で暮らせってね」

どこかおどけた感じでいう真人君だが、どこか寂しそうだ。

「そんな……。じゃあ、スサノオは……」

あの時言っていたこと、本当に実行したんだ。

じゃあ、スサノオは今、あの場所に一人ぼっちなんじゃ……。

そんな思考をめぐらせていると、足音荒く部屋に入ってきた人物に思いっきり肩をつかまれた。

驚いて、その人物を見ればそれは――

「ミツハさん……」

「あなた、何でここにいるのよ!」

「えっと、それは……」

言いよどむ私を庇うように真人君が前に出ると、ミツハさんの腕を掴んで私から離した。

「ミツハ、やめろ」

静かだけど、力のある声だった。

ミツハさんは、渋々ながら私から離れるとそれでも、憎悪に満ちた瞳を私に向けてきた。
< 683 / 702 >

この作品をシェア

pagetop