まほろば【現代編】
「スサノオ様が、あなたを選んだから……。いつも受動的だったスサノオ様が、自らあなたを望んだから……。だから、私はスサノオ様が幸せになれるならと……」

憎しみに満ちた瞳から、キラキラと綺麗な涙が溢れ出した。

ミツハさんは、本当にスサノオのことを好きなんだな……。

それなのに、私のせいですべてめちゃくちゃになっちゃって、それでもスサノオのことを想って身を引いたんだ。

ミツハさんの想い、スサノオに届けてあげたい。

ただそう想った。

ポッと額の中心が暖かくなるのを感じた。

そして、私を再び青い光が包み込む。

力が漲っているのがわかる。

そして、何をすればいいのかも。

何も考えずとも、体が勝手に動いていた。

ミツハさんの額に人差し指を持っていくと、私の力の一部がミツハさんに流れ込んでいく。

すると、ミツハさんも青い光に包まれた。

そうかと思うと、次の瞬間パッと一際明るく輝き、光が収まった後にはミツハさんの姿は消えていた。
< 684 / 702 >

この作品をシェア

pagetop