まほろば【現代編】
リュウが、不思議そうな顔で私の顔を覗き込んでくる。

やっぱり、リュウって綺麗な顔しているよな……って、そんなことを考えている場合じゃない。

「どうしよう！」

「何が？」

「私、お母さんに怒られる～！」

ちょっと首をかしげたリュウだが、すぐにその意味がわかったのか可笑しそうにクスクス笑い出した。

「笑い事じゃないんだけど！」

だって、私ってば無断で何日も家に帰らなかったんだから！

だけど、そんな私の様子をさらに可笑しそうに笑いながらリュウが見ている。

「もー、他人事だと思って！」

「大丈夫だって」

「大丈夫なわけないでしょ！」

「だから、大丈夫」

少し笑いを収めながら、それでもまだクスクス笑いをやめることなくリュウが続ける。
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