まほろば【現代編】
「ゴメンね。ボク、ハルカのこと大好きだから。ハルカが安心して暮らせる世界を創ってあげたいから、だから」

笑ってと、自分が泣きそうな顔になりながらそんなことを言った。

それからしばらくは、ホムラだけじゃなく他の四神にツクヨミまでがハルカのことを慰めるのに時間を費やした。

そして、今は部屋の中に俺とハルカだけが残った。

「ねえ、リュウ」

「なんだ」

「前の結界の張りなおしのときも、ホムラたちがいなくなっちゃう可能性があったの?」

「……まあな」

「どうして!なんで、教えてくれなかったの!?」

やっと乾いたと思った涙が、また溜まっている。

ハルカの泣き顔は確かに見たくないものだな。

だから、その可愛い顔を自分の胸にうずめるように抱きしめた。

「ゴメンな」
< 693 / 702 >

この作品をシェア

pagetop