まほろば【現代編】
「もっと細かいことは?」

綾姉の言葉を疑うことなど考えられない。

だから、それは貴重な情報だった。

だけど、それだけではあまりに漠然としていてやはり、どこから手をつければいいのかわからない。

俺の言葉にゆるゆると頭を横に振る綾姉を見て、思わずため息が零れて頭を抱えてしまった。

「……そっか」

「でもね」

その言葉に、再び顔を上げると綾姉の妖艶な微笑が目に入った。

「近くに行けばわかると思うの」

「どういうこと?」

「うん。だから、探しに行くなら私も一緒に連れて行ってほしいの」

「でも」

「大丈夫。ちゃんと役に立つから」

どこか必死な表情を湛えている綾姉。こんな綾姉は初めて見る。
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