タイムカプセル【TABOO】

母校に1歩踏み込むと、薄れていた記憶が鮮明になる。
懐かしい面影とざわめきと共に。

当時のクラス委員がタイムカプセルを掘り返している。
その周りを当時のクラスメートで囲む。
こうしていると10年もの月日が流れたことを忘れてしまいそうになる。

そして・・・ 私は、記憶の中の彼を探してしまう。
私にとって母校で過ごした日々は彼と過ごした日々そのものだったから・・・。

来るわけないか・・・
そんな諦めが脳裏をちらついた時、遠くの方から歩いてくる彼の面影に胸を締め付けられる。

目の前では掘り出されたタイムカプセルの鍵がカウントダウンと共に開錠されようとしている。

10年後の自分に宛てた当時の想い。
 叶う事のなかった想い。

あの頃の想いを手にした時、視界に映る彼が滲んで・・・

その場を駆け出していた。

もう忘れたはずの・・・
笑って話せるようになった過去の恋愛。

それなのに溢れ出す感情は切なく・・・そして苦しい。


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