別れ道での約束
「ちょっと、邪魔しないでよ。書けないから」


私は書く手を止めて、大智の手を振り払う。


「触ったって、いいじゃないかよ。俺の咲良だし」


振り払っても、また触ってくる。


相手にしてたらいつまで経っても進まないので、無視して残りを書く。


早く終わらせて帰りたい。


「髪、伸びたな」


大智が長い方が好きだと言うから、伸ばしていた。


「うん。でも、そろそろ暑くなってきたから切ろうかな」


大智が反対するだろうと思いながらも言ってみた。


「えっ?そのままでいいよ。長いの似合ってる。もし暑いなら、縛れば?縛った咲良も見たいし」


そんなことを言いながら、触る手を止めない。

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