別れ道での約束
私は目を丸くして、両手で口を押さえた。


もし、今日大智に会えたら、約束を守れるのではないかと期待はしていたけど、いざ言われると信じられない思いだ。


「約束、覚えているよな?」


私が答えないから、確認するように聞く。


「うん、覚えているよ」


忘れるはずがない。

ずっと願っていたことだから。

ずっと私の夢だったから。


「俺たちの約束は結婚することと、俺の子どもを産むこと。知らないうちに智咲が産まれて、1つ約束は守られていたけどな」


「クスッ、そうだね」

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