君の知らない物語




お坊さんが何かを唱えている間、
私は今までのことを振り返った。




今年の夏、
奈々が心臓病だということを知った。

その時は、ただただ悔しかった。
心友の私に教えてくれなかったことが悔しくて、
奈々を責めたりもした。



今年の秋、
思い出づくりとか意味わからないことを言われて、
色々振り回された。

正直ウザくて、
何度も喧嘩した。



今年の冬、
心臓病が悪化して、入院することになった。

毎日お見舞いをして、
千羽鶴をつくって。
日に日に弱っていく奈々を、
私は黙って見ることしかできなかった。


そして、
奈々は死んでしまった。




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