For 10 years
『リナちゃん、どうした?』


『隼人さんっ、…うぅ…』



涙が一粒こぼれてしまったせいか、涙を止める堤防が壊れてしまったように、次々と涙が溢れてきて……


リナちゃんは、嗚咽を漏らすほどに泣き出してしまった。


そんな彼女を放っておくこともできず、個室のある店に二人で入ったんだ。


しばらく泣いていたリナちゃんだけど、涙が引いていくと同時に少しずつ嗚咽もおさまってきた。



『隼人さん、ごめんなさい』


『大丈夫?』


『はい。……彼氏に、フラれちゃったんです』



そう言ったとたん、また涙を流したリナちゃん。


そっか、失恋の涙だったんだ。


その時、俺も一年前に絢華ちゃんが結婚したときに、涙を流したことを思い出した。
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