For 10 years
「今日は行きたいところがあるんだけど、いいかな?」


「うん、いいですよ」



いつもはだいたいリナちゃんがデートプランを考える。


毎回、俺が退屈しないようなプランだ。


きっと頭を悩ませて考えているに違いない。


でも今日は、俺が殻を破るためのプランを考えたんだ。


殻……


コクろうと思ってる。


正直、かなり緊張している。


32才にもなって、こんなに心臓をバクバクさせているのも情けない話だけど、こんな風に想いを告げるのは、四年ぶりだ。


緊張するに決まってる。



リナちゃんを助手席に乗せて、車を走らせた。



「隼人さんの車に乗るのって、凄く久しぶり」


「だよな」



リナちゃんの考えるデートプランには、いつも車は入ってこない。


たぶん、リナちゃんからは“乗せてほしい”とは言い出せなかったからだと思う。
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