For 10 years
そのあとは……


すぐに車に乗ればよかったのかもしれない。


でも、昼間彼氏に向けていた笑顔があまりに綺麗で、またそれを見れるのかもしれないと思ったら……


その場から動けなかった。


しばらく話をしていた二人だけど……


突然彼氏が絢華ちゃんの腕を引き、そのまま肩に腕を回してキスをした。


その光景が、あまりにもショックで……


すっげぇ胸が痛くなった。


そのあと、絢華ちゃんの焦って叫ぶような声が聞こえてきたけれど、その表情は怒っているというより、今までに見たことのないような高揚した表情で……


またドキッ…としてしまった。


二人が抱き合う姿を見て、そろそろマジで諦めなきゃな……


そう思った。




それでも、定期的に顔を合わせているからか、俺の胸の中にいる絢華ちゃんは、なかなか出ていってはくれなかった。
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