For 10 years
泣けるほどへこむといえば……


あれは4ヵ月ほど前……


桜がもうすぐ満開をむかえるという頃。


バイトに来た絢華ちゃんが、今まで見たことのない髪型をしていた。


別にたいした理由はないのかもしれないけれど、俺はそれが気になった。


休憩時間になって、休憩室へ入ろうとドアに手を掛けた瞬間……


ドアの向こうから聞こえてきた会話に、中へ入れなくなってしまった。



『絢華ちゃん、それってキスマークでしょ?』


『やっぱりバレた?今日学校でも冷やかされて、すっごく恥ずかしかったんだよ』


『あはは、そうなんだ。でも彼氏も大胆だね、そんなとこに付けるなんて』


『でしょー!?』
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