For 10 years
『でもそれだけ想われてるってことなんだね』


『そうかな』


『幸せそうな顔しちゃって』



キスマーク……


そっか……


だから髪型が違ったんだ、その跡を隠すために。



それからは、絢華ちゃんが横を通るたびに、跡が気になってチラチラと見てしまい……


でもそれを見つけた瞬間、泣けるほどへこんだんだ――…






それからも……


どんなに彼氏のことを想っている絢華ちゃんを見ても……


どんなに彼氏と仲のいい姿を見せられても……


そのたびに胸が痛くなって、苦しくなるだけで……


絢華ちゃんが、俺の心の中から出ていくことはなかった。
< 17 / 119 >

この作品をシェア

pagetop